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【コラム】あなたにとってのクリスマスは?

▲街を歩くと、ジョン・レノンの「Happy Christmas」が流れている。ビートルズ世代ではないが、思わず足を止めてその歌声に耳を澄ました。
今日はクリスマス。彼が曲に込めた平和への実現は果たせたか。世界では民族や利権をめぐる衝突が後を絶たない。目を近くにやれば、海を境に軍事的挑発を続ける国や異なった歴史認識を持つ国といがみ合っている。経済的制裁や非難の応酬が繰り広げられる今だが、それだけで済まなくなる日も近いのでは。生活保護費の引き下げとは対照に「抑止力のため」と国の防衛費は引き上げられる。外交を通じた平和的解決よりもむしろ、軍事的解決を求める声が日本では強まっている。
この曲が街中に流れる度に平和から遠のく現実に辟易させられる。ただ、人の足を止めるほど良い曲なのは変わらない。「War is over」を耳にして思いを巡らせる人も多いはず。反戦への願いは今も色あせることはなく、人々の心にあるだろうか。

▲25日はキリストの降誕を祝う日だが、大切な人とのつながりをかみしめる日でもある。SNS では家族や恋人と過ごすひとときを写真や言葉にして、愛を確かめあう投稿で溢れている。通りにはたくさんの紙袋を手にした家族やカップルが行き交う。恋愛に敏感な若者にとっては「リア充」の日を煙たがる人も多いのではないか。でも、「あぁ、今年も」と肩を落としたら誰かに「来年こそ」とねぎらってもらう、そんな慰めがあればいい。大切な人と過ごし幸せを感じる日、そうした日になるのが「リアルに充実」とは限らないのだから。人生の生きがいは恋愛だけが全てではない。この日が大事であるのかも人それぞれだ。

▲「特別な日を」という求めに応じて身を削る思いで奮闘する人もいる。クリスマス商戦のこの時期、プレゼントを買いに来る客相手に夜遅くまで働く親と保育園で迎えを待つ子供、子供を預かる保育士、誰にも会う予定がないからと仕事に打ち込む人。想像力を働かせると、陰に支えていた人たちが見えてくる。彼らの犠牲の上に今日掴んだ幸せは形作られている。中には家に帰ることができず寒空の下で地下街へ続く階段や公衆電話ボックス、橋の下、ネットカフェで夜が明けるのを待つ人たち。家から出ることをためらってひきこもり、孤独に過ごす人。決して家族とはこの日を祝うことができない人。彼らにとって 25日は普段と変わらない「日常」だ。 SNS に載ることのない、この日を生きる人たちがいる。

▲「通りすがりの疲れた様子の人は幸せかな」「大切な日なのに出勤してプレゼントを包んでくれてありがとう」。袖がすり合うわずかな時間、クリスマス気分に浮かれずそんな気遣いや感謝の意を抱く。心にゆとりが生まれる日だからこそ、普段は感じとれない存在に思いを馳せてみたい。

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越橋 宣之