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<視点>成績評価に透明性を

 2024年もあと1ヶ月。年末気分が漂う中、来年度の期末試験や期末レポートに頭を悩ませている学生も多いはずだ。期末試験やレポートなどを経て単位を取得するという一連の営みには、学生本人の努力が欠かせない。もっとも恣意的な成績評価や不透明な評価基準により、それぞれが積み重ねた努力が踏みにじられるということはあってはならず、北大側も「成績評価に対する問い合せ」という形で学生の異議申し立て権を認めている。しかし申し立ての有する実効性について、学生からは疑問の声が出ている。(永津篤史)

自信を持って回答できたはずが

昨年の冬、法学部に所属するAさんは、あるベテラン教授が受け持つ刑事系講義の期末試験を受験した。「事例問題を見た瞬間、これは解けると手応えを感じました。もともと大学院への進学を希望しており、授業以外でも勉強を重ねてましたから」。自信を持って回答を作成した。当然良い評価がくると思っていた。

Aさんが普段使用しているという教科書=本人提供

期末試験を受験してから約1ヶ月後。成績が発表された。期待してパソコン画面を覗いたAさんは、自らの成績に落胆した。

Aさんの実際の評定=「C+」という低い成績に終わっている

結果は「C +」。法学部の便覧を参考にすると、100点方式で65点から69点しか取れていないという計算になる。「出来が良かっただけに、非常に落ち込みました。単位を取得できたからそれでいいのでないかという意見もあると思いますが、勉強を重ねて作成した自身の回答が不当に評価されているようで採点に不信感さえ抱きました」。

認められなかった異議申し立て

Aさんは、法学部の事務室宛に「成績評価に対する問い合せ」を行った。

📎北大法学部では、成績評価の透明性を図る目的で、各学期に開講されている他学部開講分も含んだ全ての授業科目を対象に「成績評価に対する問い合わせ」制度を設けている。学生は教務から発表される要綱に従って、成績公開日の翌日まで、Googleドライブ上で問い合わせを行うことができる。

具体的な問題文と自身の記載したであろう回答を本文に記載し、具体的にどの部分が間違っていたのかを明確に示すように求めたのだ。しかし、その翌日。担当教授から送られてきたのは、異議申し立てを認めないという回答だった。

教授から実際に送られてきたという返答=本人提供

問題文の当否に関する問い合せは認められず

Aさんの異議申し立てが認められなかった大きな理由は、Aさんの問い合せ理由が問題文や自身の回答の当否を尋ねるものであったからだ。異議申し立てが認められるのは、授業内で教授が示した成績基準(例:出席回数が15回以上の者のうち期末レポートを提出した者には、B+以上の評価を行う)に明確に反するなどの特定の場合に限られている。

「学生との交渉を趣旨とするものではありません」=法学部学生便覧

ただし幸いなことに、Aさんが異議申し立てを行った教授は、付言という形で問題文やAさんの回答の是非について具体的な返答をくれたという。「今回は、たまたま先生のご好意で回答を得ることができましたが、そもそもの申し立ての時期が短すぎるように感じます。あと数日間でいいから伸ばしてほしいですね」。今回の教授の親切さを指摘した上で、Aさんは法学部の対応にあらためて不満を漏らした。

筆者雑感

北大生の多くが単位を取得しようと必死に努力を重ねている。学生の「本気」に、教授や事務側もしっかりと向き合わなければならないだろう。「具体的事実がない」異議申し立ては受け付けられないとして、学生のほぼ唯一の権利である問い合わせ権の行使を萎縮させるような文言(法学部HP参照)には問題がある。「具体的事実がない」との批判は、申し立てによる救済を門前払いにする大学側にこそ、向けられる言葉だ。

About 永津篤史

「恋」と「法律」に振り回される法学部3年。 「縁」を求めて、今年5月にJagaJagaに加入。 夜はメンヘラ気味になるので、記事はお天道様が出ているうちに仕上げるのが自己流。家系ラーメンが1番の好物。 偉大な先輩方に早く追いつきたい!!