考察・「宗教上の組織・団体性」に係る判断の不合理を回避か
政教分離の適用条文を巡る最高裁の一貫性のない判断について私自身は以下のように考察した。
20条1項の「宗教団体」や89条後段の「宗教上の組織若しくはは団体」の判断が何らかの事情で行えない場合には、20条3項を一般条項的・逃げ道的に使用しているのではないか。孔子廟事件では仮に20条1項や89条後段を適用してしまえば、否応なく外国由来の宗教組織である「久米崇聖会」の宗教性判断に立ちいる必要があり、ある種の外交問題に発展しかねないリスクを内在していたのではないか。最高裁はそのようなリスクを条文選択という手段をもって回避したのではないか。
もちろん異論はあるだろう。しかし条文の選択段階でも事案に応じた妥当な解決を図っている最高裁の姿が垣間見れた気がした。
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