競馬場デートのすすめ

　記者自身の関心テーマや研究分野を不定期で紹介する「記者解説」。過去にはパチンコ店の魅力や政教分離原則について記事化してきたが、今回取り上げるのは競馬場デート。競馬場は、ギャンブルのハラハラ感も味わいつつ、グルメやなども楽しめる複合型のレジャー施設。本記事が、あなたにとってのデートマニュアルとなれば幸いだ。

ギャンブル癖は隠すべし

まず想像してほしい。

大好きな彼や彼女が、WINSやネット投票を駆使して、競馬にのめり込んでいる姿を。

毎月のバイト代のほとんどを競馬で使い果たしている姿を。

多分あなたは幻滅し、きっと将来ともに家庭を築くことへの不安を感じるはずだ。だから、競馬場デートをする前日から、専門紙を購入して本格的に予想するなどは避けた方がいい。また第１レースから買おうとか、午前中のレースで芝傾向を見ておこうなどと考えることもだめだ。あなたはあくまでデートに行くのだ。

目的は芝傾向を見ることでも、借金完済のための万馬券を取ることでもない。目的を見失わないでほしい。

土曜日の午後１時くらいに集合すべし

　さて、いよいよデート当日。朝起床したあなたは各レースの出走馬を見て、こう思うはずだ。

なんだ、土曜日は「ク●レース」しかないやん。どうせなら明日の天皇賞・春にしよ。

ちょっと待てほしい。 G１デーの競馬場などご法度だ。彼女はあなたほどタフではないし、身動きが取れないG１は初心者にとって拷問でしかない。できるだけ人の少ない土曜日にしよう。またギャンブル依存症のあなたとは違い、彼女は日々のバイトや学業で疲れ切っている。

朝早くから、外ざし・内差し傾向を見る必要などどこにあるだろうか。昼ぐらいに集まろう。

指定席を取るべし

競馬場では、想像以上によく歩く。パドックから本馬場まで歩き、パドックから馬券購入売場へも歩がなくてはならない。とにかく歩く。

よって指定席を取ろう。

「あーー、指定席を取るぐらいならその分、少しでも馬券を買いたい」。あなたの心のつぶやきが、ここまで漏れ聞こえてきた。しかし、今日の主役は彼女だ。指定席には、2人がけのカップルシートも存在する。活用してほしい。

JRAの公式サイト「指定席入場券ネット予約」

各1000円ほどで楽しむべし

さぁ、指定席に座ったあなたと彼女。時間は1時半を少し過ぎたところか。いよいよ馬券購入だ。

彼女にとっては、人生初馬券。

そんな彼女の初めてに立ち会うあなたはどうすべきか。

「７レースはさ、多分この戸崎の馬がいいと思うよ。前走中山で前残りの中追い込んできたし、今回は調教師も勝負気配。特に中山ダート短距離のシニスターミニスター産駒はいいよ！」

彼女：「？？？？」

絶対に避けてほしい。

「７レースで、〇〇ちゃんの気に入った名前の馬の複勝1000円にしよう！」

なるべく彼女に寄り添って。誰でも最初は初心者だ。

また1000円というのも絶妙な金額だ。

購入金額が安過ぎてもケチだと思われるし、高過ぎてもドン引きされてしまう。ギリギリを行ってこそである。

あとマークシートは初心者には特にややこしいので、あなたが書いてあげてほしい。

彼女の馬を常に意識すべし

いよいよレースが発送した。各馬一斉にスタートが切られた。そんなレース中には、彼女の馬はどこにいるかを常に意識してほしい。彼女から「私の馬どこ？？」と聞かれれば、「〇〇ちゃんの馬は、今あそこにいるよ！ほら！上がってきた！！」。丁寧に教えてあげるのだ。

決して前半1000mラップタイムがどうとか言ってはいけないし、汚いヤジも厳禁だ。

「おい、戸崎。お前また内で詰まっているやん！下手くそ！」

戸崎が下手なのではない。あなたの馬券が下手なだけだ。勘違いしないように。