建築学科の学生が個展を開く。ヨーロッパで撮った写真を展示するらしい。詳しい話を聞きに行った。
小さい頃からデザインが好きで、その道に進もうと思っていた岡本さん。勉強も好きだったため北大の建築学科に進学した。大学3年生になると大学を休学し、1年間ヨーロッパを廻り、英語、建築、アートを独学で学んだ。美術館を巡るのが好きで何度も足を運び、その世界観に衝撃を受けた。
「日本にはないな、この空間は」
「建築を学んでるからこその面白さってあるんですよね」
と岡本さんは言う。日本にいるだけでは分からないことが沢山あった。ヨーロッパでの経験は岡本さんの視野を広げた。
帰国後、ヨーロッパで学んだものを糧に日本でアーティスト活動を行う。そんな中、今年をもって閉鎖になる第2三谷ビル(南1条西6)の一室を使って個展を開くという話をもらう。岡本さんにとっては願ってもないチャンスだった。同じ建築学科の北大生に声をかけ、10人の個性豊かなメンバーを集めた。
「10人も個性が強いメンバーだから、まとめあげるのが大変、自分勝手ですよ、良い意味で」
大変なのは間違いないと思うが、岡本さんはそれを楽しんでいるようにも見えた。
個展の内容は13枚の写真の展示。すべてヨーロッパで撮られたものだ。
「個展の写真たちは、意識して撮ったわけじゃなくて、“街に隠れている魅力”を」
と岡本さんは言う。ヨーロッパの街中を常にカメラを持って歩き、自分の中で”おもしろいな”と思ったタイミングでシャッターを切った。撮った写真の数は膨大だ。しかし、
「かっこいい、雑誌に載せるような写真も撮ってるんですけど、これを三谷ビルのレトロな雰囲気にはちょっと違うかなって」
無数にある写真の中からビルの雰囲気にあうように、消え行く儚い感じのイメージの写真を選び抜いた。
集まった10人には写真が1枚ずつ渡される。メンバーは渡されたその1枚の写真を解釈し、発信したいように展示方法、展示空間を考え、表現する。意外なことに、写真を渡す時に岡本さんは写真について何も伝えなかったという。
「何も伝えてないが、彼らがどう解釈するかを楽しみにしていたんです。自分が想像していなかった世界観を彼らが持っていて、そういう見方をしてくれるんだ、それもまたアートだなと、面白いなと思ったんです」
1つの部屋に、10人がそれぞれ作った展示空間がある、カオスな空間だ。しかも、全く別々のものとして存在するのではなくてそれぞれが呼応しあうのだ。
10人がそれぞれ自由に解釈をして自由に発信する。だから岡本さんは言う、
「発信側が自由なのだから、来場してくれた人にも自由に見てほしい」
「アートのハードルを下げたい」
アートの世界に馴染みのない人でも気軽に来てほしい。綺麗だな、だけでも全く構わない。もっともっと、アートの世界を身近なものとして感じて欲しい。
最後に、この個展がどのようなものになりそうか聞いてみた。
「完成してみないと僕もわからない、未知の世界」
岡本さんにも今回の試みがどうなるのか全く想像がつかないという。
一般的な北大生にとって“アート”は些か敷居が高い世界に思えるかもしれない。しかし個展を開くのは同じ北大生だ。授業前、授業後、空きコマ、なんでもいい。軽い気持ちで岡本さんの世界を覗いてみよう。
岡本さんのインスタ hiroya okamoto@otemoto_uw
期 間 : 2017年11月22日(水)~11月29日(水)
時 間 : 9:00 ~ 19:30
会 場 : サードプレイス Sapporo (札幌市中央区南1条西6丁目 第2三谷ビル7F)
入場料 : 無 料
協 賛 : 街のツカイカタ
メンバー:
岡本 碩也 吉田 穂波 大沼 音也 倉留 大貴 池田 昇太郎
久保 夏樹 吉水 久乃 大伏 玄泰 小松 航樹 山口 大翔