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【「大変」は「やりがい」】18歳~のハローワークvol. 2【道新ロンドン支局長舟崎さん】

心がけていること

―ここロンドンやヨーロッパなどの話題だと、遠く離れた北海道にいる読者の興味を引くのはなかなか難しいかと思いますが、何か心がけていることはありますか?

「それはやはり北海道新聞は全国紙ではなく地方紙であるっていうことがあるから、心がけていることとしては、『取材拠点をできるだけ地方にする』、『できるだけ地方の視点から見る』ということです。特に去年はヨーロッパは選挙イヤーで、3月はオランダ総選挙(下院選)、4-5月はフランス大統領選、9月はドイツ連邦議会選があって、全部行ったんですが、オランダでは皆ハーグに行くところをマーストリヒト、フランスも投票日まではできるだけパリにいかないようにしたんです。やっぱり結果はパリで書かないといけないので投票日にはパリに行きましたが、それまでは最初はボルドー、第1ラウンド拠点はリールで第2ラウンドはトゥールーズに拠点を置きました。

見事に飛び回ってますね…。 出典:Google (加工:筆者)

トゥールーズは第1次ラウンドで急進左派のメランションが得票数第1位だったというのもあって選びましたが、そういう地方の町ではパリの人とは全然意見が違ったりするんですね。ドイツもベルリンじゃなくて、ケルンとかデュッセルドルフ、12月はニュルンベルクでした。できるだけ地方から目線を合わせようと思ったからです。少し戻りますが、2016年6月の英国のEUレファレンダムのときには、ある大学教授に『本当にこの国の状況が知りたければ、ロンドンにいるだけではわからないよ。できるだけ地方に行ったほうがいい』と言われたんです。東西南北いろいろな街を回った。そしたらいろんな意見があることが分かったんです。」

―たしかに北海道も首都圏とはまた違った意見持っているとも言えそうですしね。

「できるだけ視野を狭くもたないこと。取材対象からはある程度距離感をとって、できるだけ目線を読者に合わせようとしています。だって、ヨーロッパで取材しているとはいえ、ヨーロッパの人が興味を持つような、ヨーロッパの内輪でしか伝わらないような取材の仕方や書き方をしていても、しまいには『何か勝手にやってるな』とさえ思われてしまうかもしれない。だから、北海道のどこに住んでいてもこの記事を読んだら『へぇー』となるようなものにしようと思っています。」

ロンドンの街角。”Twinkle, twinkle little star… Point me to the nearest bar :)”…あー…この横のですね。 撮影:筆者

大変だったこと。でもそれがやりがい。

―この仕事のやりがいというのはズバリどういったところにあるのでしょうか?

「んー…。こういったら変かもしれませんが、この仕事のやりがいは、目撃者になれることかもしれません。例えば具体的に言うと、あれは2015年11月にパリで130名もの人が犠牲になった、あのテロの取材に現地に行ったときのことでした。以前行った時のパリとは全く違って、ものすごい空気が流れていました。取材は北駅からリパブリック広場、そしてバタクラン(事件のあった劇場)の前でした。劇場前の献花の周りにはたくさんの人々がいるのに、彼らは喚くのでも泣き叫ぶのでもなく、ただ茫然とその場に立っていて。それでいて目からは大量の涙が流れているんです。その空気はまるで、真空空間にいるようでした。あれは正にバキュームだったんです。その時に感じたのは、この世界中が注目する大事件の現場で、たった一人北海道新聞の記者として人々の声や状況を見聞きし、それを伝えなければならないという使命感みたいなものでした。そして、全ての記者が願ったとしてもかなうとは限らない現実の中で、自分がその大事件を伝える記者であり得たことへの有難さというのも感じましたね。それが記者としてのやりがいを特に感じた瞬間でした。」

―そんな凄まじい状況も記事にして伝えなければならない。

「そう。どうやって記事を書こうかと、非常に頭を悩ませて…。それはー、大変でした。(笑)もちろん大変だったしプレッシャーも相当ありましたけど、やはりここにいて取材をさせてもらっているという有難さ、というものがあるので。それに、その時その場所にいることができるというのは、刺激とか充実感にもなるので、そういうところがやりがいにもつながっているのかもしれないですね。」

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がんばってるつもりなんですが、声量と覇気が足りないといわれます。本当に世知辛い世の中だと思います。