広々とした平原をバックに、監督からの熱い指示が飛ぶ。設立から50年以上の歴史を持つ『北大映画研究会』のいつもの撮影風景だ。歴史的なコロナ禍が収束しつつある中、彼らのレンズに映る”今”を追った。

部室を拠点に活動中
「家賃なども、OBの方々に負担して頂いており、本当にありがたい限りです」と根岸さんは、OBへの感謝を滲ませた。2LDKの一室に、所狭しとDVDや映画の解説本が並ぶ。半世紀以上前の名作から、最近の作品に至るまで、並ぶ種類は様々だ。「この部屋では、主に編集活動や映画鑑賞会を行なっています」と根岸さんはいう。部屋の四方に置かれた高音質なスピーカーからも、映画に強い対するこだわりが窺われた。




コロナ禍で、作成ノウハウ失われ
「コロナ禍で、脚本構成や撮影技法などを先輩から伝授いただくことが難しくなりました」と今回監督を務める萱野さんは語る。
そんな手探りの中でも、萱野さんは脚本を書き、カメラを構えた。一本の映画完成にかかる時間は、約20時間。待機時間や演者との打ち合わせ時間も多く、決して華やかとはいえない作業が続く。そんな作業の中でも、人に伝えられる喜びを噛み締めている。「とにかく映画研究会をもっと動かすために、積極的な人材が欲しいですね」と萱野さん、まだ見ぬ新入生に思いを馳せた。

今作のテーマは”夢”
「自分が寝ているときに見た”夢”をそのまま映画にしようと思い立ったのが、今作のきっかけです」と萱野さんは、制作に至る動機を話してくれた。題名は『アリオス』。
夢と現実の狭間でもがく主人公を写した短編映画だ。「独特な世界観を持つ作品だけに、ふわっとした雰囲気で臨みます」とヒロイン役の田中さんは言う。監督と演者との間で、逐一演技方法についての打ち合わせがなされる。まだまだ寒さの残る屋外での撮影だが、皆の表情は晴れやかだ。映画という媒体で人に伝えられる、そのことを皆が全力で楽しんでいるように見えた。
決して恐れるな、今に立ち向かえ、夢から覚める勇気を持て。『アリオス』に登場する一節は、ポストコロナ時代を生きる私たちへのエールでもあった。
(*『アリオス』は、今年の楡陵祭や映画研究会の公式YouTubeで視聴可能)


今後の予定
・4月26日(水)の18時45分:一緒に映画をみる会(教養棟一階集合)
・毎週金曜日の18時45分:例会(教養棟一階集合)