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暖かいサウナで義理を果たしたい、Nomaps・杉村さんのインタビュー

「多分、飽き性なんでしょうね、新しいことをやってみたくて仕方ないんです」、北海道大学大学院保健科学院に在籍しながら、現役の看護師としても活躍する杉村直孝さん(35)は、にこやかに語ってくれた。北大内にサウナを作りたい、そんな独特の野望を持つ杉村さんを取材した。(永津篤史)

18歳で北大に、その後看護師に

 出身は、青森県の八戸市。高校教諭の父と看護師である母のもとに生まれた。母とは幼い頃から医療問題について話をすることも多く、身近に医療を感じられる家庭で育った。また看護師として務める母は、時に専門学校や保育園、市役所へも働きに出た。子供ながらに、資格一つで様々な仕事につける看護師の魅力を感じていた。そんな母の影響からか、18歳の時、北海道大学の医学部保健学科へと現役で進学した。大学卒業後には、看護師として北海道大学病院で勤務した。     

 全てが順風満帆であるかのように思えた。しかし、杉村さんが初めて配属された先は、循環器呼吸器外科病棟。患者の生命のため、文字通り1分1秒を争う現場が連日続いた。そんな日々の中、肉体的・精神的な疲労はピークに達していた。「今になって思えば、周りの仲間に助けてほしいと言い出すことが中々できなかったです」、当時を振り返り、周囲とのコミュニケーション不足をその原因として挙げた。

青年海外協力隊に二度挑戦も不合格に

 看護師としての過酷な日々を過ごす中、杉村さんの心は揺れていた。実は、20年来音信不通だった親戚がブラジルにいる杉村さん。異世界への興味とまだ見ぬ親戚に逢ってみたいという思いから、次第に青年海外協力隊を志すようになった。青年海外協力隊の採用試験は、年に2度、春と秋に実施される。春の採用試験を受けたのは、27歳の時。約4年間勤務した大学病院を退職して受けた背水の陣であった。

 しかし結果は、不採用。望みを託した秋の採用試験にも合格することはできなかった。自分には何ができるのかを意識せず、ただ行ってみたいという独りよがりな気持ちが、邪魔をしたのではないか、今振り返ってそう思う。

慰めてくれる友人や指導教官との出会い

 しかし2回の不採用で気づいたことや得たものもあった。

 その1つ目が、仲間の存在であった。自分を大事に想って励ましてくれる人がこんなにもいるのかと驚いた。2回の不採用は、自身の周りにいるかけがえのない存在を再認識させてくれた。

 2つ目は、指導教官との出会いである。協力隊へも不採用で、大学病院も退職したのなら、学生の指導や研究の補助をしてくれないかと現在の指導教官から頼まれた。そんな突然の依頼から、看護師を目指す学生らの指導にあたるようになった。

 看護師を含む医療の現場には、「やってなれろ」の風潮がいまだに蔓延していると杉村さんは指摘する。しかし漠然とした教育・指導で最終的な不利益を被るのは患者自身である、そんな思いからケアや処置をする際のポイントをわかりやすくまとめた視聴覚教材(下記の写真も参照)を作成した。第三者的な視点から実践方法を伝える従来の教材とは異なり、実践者の主観的な視点から伝える教材は現場の新人看護師にも好評で、実際の新人研修内で杉村さんの教材が使われたこともあった。

Nomapsでサウナの実現を

 学生の指導にあたる日々の中、一つだけ気にかかることがあった。それは、研究に励む学生の多くが泊まり込みで研究に取り組んでいるという現状だ。大学をもっと学生にとっての快適な場所にできないか。仮眠施設などと合わせてサウナを作ることを思いついた。 サウナ実現のため、まずは起業系サークルの門を叩いた。しかし団体内での摩擦や活動にあたっての不審点などが相次ぎ、サウナの話はあっという間に経ち消えてしまった。2018年、杉村さんが28歳の出来ごとだった。

 起業系サークルでの苦い経験から、約5年。今年のNomapsには、北海道大学が研究機関として、初めて共催すると聞いた。Nomapsは、企業や研究機関、学生などが垣根を超えてイノベーションを起こすことを目標に2016年に設立された団体である。

 Nomapsで、サウナ実現のための足がかりを作りたい。企業協賛の打診や大学側との交渉、SNS活動まで、企画チームの助けを借りながら企画リーダーとして杉村さんが先頭に立ち活動した。準備期間の短さから、ボツになってしまった北大会場の企画も数多くある。しかし、サウナ企画については突然のコンタクトにもかかわらず興味をしてくれた企業担当者も多くいた。「協力してくれた人のためにも、義理を果たしたいですね」と、杉村さんは意気込む。 

 Nomapsのイベント「NoMaps HOKKAIDO UNIV.」は、9月16日(土)、17日(日)の2日間で開催される。杉村さんは、16日(土)・16時15分からトークセッションを行う予定。

SNSのリンクなど

・Nomapsイベントページ(クリックして飛ぶことができます!)

・サウナトークセッション用のTwitterアカウント(クリックして飛ぶことができます!)

About 永津篤史

「恋」と「法律」に振り回される法学部3年。 「縁」を求めて、今年5月にJagaJagaに加入。 夜はメンヘラ気味になるので、記事はお天道様が出ているうちに仕上げるのが自己流。家系ラーメンが1番の好物。 偉大な先輩方に早く追いつきたい!!